DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
六章:学園_school_days

「理仁! 本当に戻ってきたんだな」



襄陽学園の屋上から見晴らす眼下には、変わりなくなつかしい街並みが広がっている。


複雑な道筋が迷路みたいで、それがまたおもしろくて風情があるってんで、全国的にも有名らしい。

港は昔ほど栄えちゃいないけど、キレイな町だ。


清潔で、公園も街路樹もあって、川の水も澄んでいて。



川を挟んで向こう側の町から、若葉色の各駅停車が白い鉄橋を渡ってやって来る。



がたんごとん、がたんごとん。


自動車道路をまたぎながら緩いカーブに差し掛かるあたりで、必ずアナウンスが入るんだ。



まもなく玉宮、たまみやー。


駅に入る手前、電車が揺れます。


電車が止まりますまでお席をお立ちにならないか、吊革や手すりにおつかまりください。



子どものころからちょいちょい利用してた路線だから、景色もアナウンスも覚えてる。


セリフの丸暗記は得意分野だ。


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