DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
さっき鳴ったチャイムが放課後のスタートを告げたから、西日の中の学園は部活の時間に向けてソワソワし始めている。
おれが登校したのはついさっきで、昼近くまで寝てた。
夢を見て起きて、また寝て夢を見て起きて、の繰り返しだったから、時差ボケを一発で解消するには至ってない感じ。
まあ、このくらいならどーにでもなる。食欲はあるし。
さて、そろそろ日向ぼっこ終了。
文徳んとこに行こう。
学校の屋上って、普通はガッツリ施錠されてて出入り禁止になっている。
襄陽学園もご多分に漏れず、ドアに鍵が掛かってる上に、取っ手に鎖が巻かれて南京錠で封印されている。
じゃあ、なぜおれが今、屋上にいるかというと、合鍵を持ってるからにほかならない。
学校じゅうの鍵は全部、親父のとこから拝借してコピーした。
この程度の管理体勢って、だいぶ杜撰《ずさん》だよね。