DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
長江家に伝わる古文書を漁った結果、血筋の束縛を実感した。
「おれ、マインドコントロール系のチカラを使えるわけだけど、預かり手の血はそういうのに対して、かなり高いレベルの耐性を持つんだってさ。
宝珠を奪われないために。だから、あっきーはもちろん文徳にも、おれの王さまゲームは通用しねーの」
同じく、姉貴にも。そして、親父にも。
煥は眉間にしわを寄せたまま、じっとおれを見つめて話を聞いていた。
おれが口を閉ざすと、白獣珠を服の内側にしまいながらうなずいた。
「オレも兄貴からあんたのことを聞いてた。会ってみる気がなかったわけじゃない。でも、毎度すれ違いになった」
「たぶん、出会うタイミングじゃなかったんだろね。四獣珠のうち、あと二つの準備ができてなかった、とかさ」