DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「すみません、わたし全然大丈夫ですけど、むしろケガなかったですかっ? というか、ケガなくても痛くなかったですか、すみません!」


「おれも全然大丈夫。急いでた? あー、でも、この先って特に教室もないよ。道に迷ってたとか? 何にしても、前見てなきゃ危ないよ~」



女の子の頬が真っ赤に染まっている。


キレイな形のピンク色の唇に、繊細そうに長いまつげ。


校章の色を見るに、一年生だ。


入学したてで、まだ化粧すらしてない。



かわいいじゃんって思うと、ほとんど条件反射だった。



【ねえ、きみさ、おれとデートしない?】



号令《コマンド》でナンパ。成功率は、今まで百パーセント。


もしも相手が、おれの想定する以上におれのこと気に入っちゃってた場合は、おれでも制御不能なくらいドハマリしてくれたりする。


童貞卒業したときも、そんな感じの事故的なケースだった。


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