DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
鈴蘭の頬が、パッと真っ赤になった。
「だ、だって、このドキドキは青獣珠のものだと思うんですけど、ひょっとしたらわたし自身かもしれないって気になってしまって、
それに、何て声をかけたらいいのかなって、えっと……」
「要するに、あっきーがカッコよすぎて声かけらんないわけだ」
「あ、あっきー?」
「おれはさっき話してきたよ~。もともと、あっきーのにいさんの文徳と仲いいからね。軽音部室は関係者以外キープアウトだけど、特別に入れてもらっちゃってさ」
その瞬間、さよ子と鈴蘭の声がハモった。
「ずるい!」
ふーん。あっそう。
この時間帯にこの先に行っても、瑪都流の軽音部室しか、使われてる教室がないんだよね。
何でこの子らがいるのかなって思ったんだけど、煥がお目当てだったのか。
つーか、さっきさよ子が言ってた「好きな人がいる」って、煥のこと?
煥って、おれとは正反対なタイプじゃん。脈なしすぎて笑える。