DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
玉宮駅北口の広場は、瑪都流が現れたときにはもう、演奏を待ちかねた人たちでにぎわっていた。
インディーズ音楽が大好物ってグループと、襄陽学園の制服のグループと、ストリートパフォーマーのグループと、あからさまに不良っぽいティーンズのグループと。
もともとこのへんは、不良って呼ばれるやつらがたむろするエリアだったそうだ。
警察が頑張っても頑張っても、風紀はよくならなかった。
文徳はだいぶ無茶をするやつで、わざわざここをストリートライヴの会場に選んだ。
最初はバトルになったらしい。
でも、文徳たちは見事に全部やっつけた。
タバコ吸ってたやつら、スケボーやってたやつら、ダンスやってたやつら、酒飲んでたやつら、全部。
そんなふうだったのに、敵じゃなくてファンがどんどん増えたってんだから、文徳のカリスマ性というか人徳というか、すげーよなーって思う。