DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


しょうもない話をしていると、姉貴がおれのとこに来て、さよ子に会釈した。


さよ子は目をパチパチさせた。



「先輩のおねえさんですか?」


「さよ子ちゃん、見る目あるね~。一発目でそう訊かれること、めったにないんだよ。たいていは恋人同士かって訊かれる」


「えーっ、よく似てらっしゃるから、パッと見でわかるじゃないですかー。

初めまして! わたし、平井さよ子といいます。理仁先輩とは、昨日たまたま廊下でぶつかって知り合いました」


「その自己紹介、どーなの?」



おれは噴き出したし、姉貴も笑った。


さよ子はキョトンと首をかしげた。



さよ子は鈴蘭に呼ばれて、オーディエンスの列の前のほうへと進んでいった。


おれの姿に気付いた鈴蘭は、ペコリと頭を下げた。


< 189 / 405 >

この作品をシェア

pagetop