DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
しょうもない話をしていると、姉貴がおれのとこに来て、さよ子に会釈した。
さよ子は目をパチパチさせた。
「先輩のおねえさんですか?」
「さよ子ちゃん、見る目あるね~。一発目でそう訊かれること、めったにないんだよ。たいていは恋人同士かって訊かれる」
「えーっ、よく似てらっしゃるから、パッと見でわかるじゃないですかー。
初めまして! わたし、平井さよ子といいます。理仁先輩とは、昨日たまたま廊下でぶつかって知り合いました」
「その自己紹介、どーなの?」
おれは噴き出したし、姉貴も笑った。
さよ子はキョトンと首をかしげた。
さよ子は鈴蘭に呼ばれて、オーディエンスの列の前のほうへと進んでいった。
おれの姿に気付いた鈴蘭は、ペコリと頭を下げた。