DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
一年ぶりにお見舞いに行ったら、五十歳の眠り姫は、信じられないほどやせて小さくなって弱々しくなって、今にも死にそうな病人同然になっていた。
母親がこんなに早く、こんなにちっちゃくなるなんて、さすがに想像もできなかった。
声も出ないほど後悔した。
後悔に追い打ちをかける医者の言葉に、何か視界が真っ暗になっていくような感じで、立っていられなかった。
おかあさんの体は、うまく栄養を取れなくなってきています。
体が弱ったことに起因する疾病がいくつか出てきていますし、このタイミングでお子さんたちが会いに来てくれて……間に合ってよかったと思いますよ。
よかった、って。何がよかったんだろう?
おれさ、別に、親の死に目に間に合いたくて帰ってきたんじゃねぇんだよ。