DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
うぞうぞと、暗がりが動いた。
暗色スーツに覆面でおそろいの連中がわらわらいて、海牙と煥を取り囲んでいる。
【あんたら、何?】
索敵レーダー代わりに、思念の声を飛ばす。
放射状の発信と反射。
キャッチした感じ、外灯の届かない暗い奥のほうにもまだひかえている。
【十六か七、だね。敵の数。見える範囲だけじゃないから気を付けて】
「どうやって調べてるんです?」
【レーダーみたいなもん】
「なるほど。参考にします、よッ!」
言いながら、海牙は動き出している。
跳躍。
あまりに急激なアクションで、目がついていかない。凄まじく高い跳躍だ。
覆面がビクリとこわばる。
気配を察して見上げる。途端、顔面に海牙の蹴りが入った。
そのまま、ひしゃげた顔面を足場にして海牙は体を旋回させる。
鞭のようにしなう脚が、隣の覆面をとらえて薙《な》ぎ倒す。