DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
煥の舌打ちと次の矢の飛来が同時。
海牙が矢を払いのける。
煥が一歩進み出て、手のひらを正面にかざす。
白い光が差した。
煥の手のひらから光が生まれて、そこに壁を作る。
矢が群れになって飛んできた。
が、矢はすべて白い光の壁に中って、ジュッと焼けて落ちる。
「ナメんなよ。オレの障壁《ガード》は銃弾でも防ぐ」
おれは呼吸を整えた。
重心を据える位置は、へその下。その深い一点にまで気息を通す。
気息と一緒に全身のチカラを集めて、隈も淀みも濁りもないモノに精製して、まっすぐに放つ。
【武器を捨てろ! こっちへ向けて十歩、進んでこい!】
覆面の連中のうち、無傷の九人に対する号令《コマンド》だ。
ビリビリ痺れるくらいの抵抗。
おとなしく従えよ、クソが。
戦闘が仕事のやつらに武装解除を命じるのは、半端なく負担が重い。
負けてたまるか。