DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


文徳がサンドウィッチをぱくつきながら、感心した声を上げた。



「この野良が人に寄ってくるところ、初めて見たぞ。こいつ、ここ二ヶ月くらい、近所をうろうろしてるんだけど」


「そーなんだ? プライド高くて素直じゃないとこがあるんだろね。根っこのとこでは、人恋しくてたまらないっぽいけど。

じゃなきゃ、おれの号令《コマンド》に素直に反応しねぇだろうし」


「理仁のチカラは動物にも通用するんだな」


「言ったことなかったっけ? でも、動物は、言葉が通じる通じないの個体差がすっげー激しいよ。

おれの号令《コマンド》って、受け取る側が日本語を話してようがフランス語を話してようが関係ないんだけど、やっぱ、人間が想定する範囲の言語でしかないんだよね」


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