DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「いなくなったって、誘拐されたって意味なんですか? 脅迫状が届いたとか、そういうこと?」
「届くはずだと、総統が言っていました」
「はず? 予知ですか、それ?」
「実現する可能性が非常に高い推測、みたいなものだそうです。何にしても、ぼくが説明するより、総統から直接聞くほうがいい」
「そうですね」
「四獣珠の預かり手の皆さんには、一緒に来てもらいますよ。
移動手段は、煥くんと文徳くんがバイクを持ってますよね。理仁くんと鈴蘭さんを相乗りさせること、できるでしょう?」
伊呂波兄弟は同時にうなずいた。
それじゃあ、と行動を開始しようとする雰囲気に、おれは思わず口を開いた。
「なあ、姉貴にも連絡していい?」
振り向いた海牙は、笑うのとは違う形に目を細めた。
「預かり手でもない女性を巻き込むつもりですか?」
「そんなんじゃねぇよ。むしろ、逆だ」
「逆とは?」