DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
しかめっ面の煥が一歩、前に進み出た。
「状況は半分くらいわかった。半分くらい、まだわからねえ。
何でも知ることのできるあんたが、娘の身を案じておかしな状態になっちまってるってのは、よっぽど悪いことがこれから起こるかもしれないってわけなのか?」
そう、煥の言葉のとおりだ。
イヤな予感みたいなのは、おれもずっとあった。
でも、今こんなに急かされてここに呼び付けられて、若干、事態が呑み込めずにいる。
何で今なんだろう、何でここなんだろう、って。