DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
総統は胸を掻きむしった。
【危惧していたことが……四獣珠の禁忌を犯すのみならず、ここまで……】
また、屋敷じゅうが唸りながら揺れた。
総統からチカラが噴き出している。
まばゆく光る猛烈な暴風に真正面から吹かれる、そんな感じだった。
おれもみんなも顔をかばってうずくまった。
天沢氏が吹き飛ばされるのが視界の端に見えた。
その手から宙に飛んだスマホが、まだあのメッセージを繰り返している。
〈娘の命が惜しくば、平井鉄真が不当に収集し、保持している宝珠と引き換えにせよ〉