DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
たまたま、おれと同じ三年の女子と目が合った。
左目に、黄色っぽい半月型の胞珠。
確か、けっこうよかったよね、この子。尽くすのが大好きでさ。
宙ぶらりんになった欲求を思い出して、おれは笑顔を作り直した。
甘くとろけるナンパ師の笑顔だ。
【ねえ、おいでよ。楽しいコトしよう?】
ぼうっと、彼女の表情がにじむ。
おれが言葉に込めた思念のままに、みだらな笑みが口元に浮かぶ。
真っ赤に塗られた唇から、ぬらりと濡れて男を誘う舌がのぞいた。
ああ、くだらねー。
簡単すぎるゲームはつまらない。
遊びでも狩りでもないこれは、ただの時間つぶしだ。