DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「二つ目、あんたはおれのチカラを利用することがあったよな。家に客を招いて、ガキのおれを客の前に立たせて【嘘をつくのは悪いことです】って言わせんだ。
号令《コマンド》をかけられた客は、取引も何もなくなる。本音だけしゃべらされて、もうめちゃくちゃだ」
推測だけど、会話は全部、録音してあったんじゃないかと思う。
まずいことをしゃべっちまうやつだって、ざらにいただろう。
親父がその音源をどんなふうに活用したか。
胸クソ悪いイメージが浮かんでくる。
噂によると、親父は交渉がうまいらしいけど、たぶん、おれがその片棒を担がされていた。