DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「四つ目、あんたは朱獣珠についても嘘をつき続けてきた。こいつは、あんたのモンじゃねーんだよ。
あんたは運命と血に選ばれなかったんだ。あんたがどんなに望もうが、金をいくら積もうが、誘拐にまで手を染めようが、あんたは宝珠の預かり手にはなれねえ」
今にして思えば、朱くて怖い石はずっとおれに呼び掛けていた。
おれが目撃するたび、石はいつも親父の手の中で朱く光って、ぶんぶんと低く唸ってたんだ。
皮肉な笑い話だけど、意思を持っているかのようなその光と唸り声がまた、おれには怖かった。
朱雀のチカラを宿してるなら、鳳凰の姿になって夢枕に立つとかさ、もうちょい気の利いたことしてみせろっての。