DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「ちっちゃくてもいいって。ボリューミーじゃなくても、太れない体質だとしても、十分に柔らかいし」


「柔らかい、かなぁ? わたし本当に、出るとこまったく出てないですよ」


「いや、何ていうか。女の子をギュッとしたときに男が感じる柔らかさってさ、そんな表面的なもんじゃなくてね。

硬くて頑丈な体を持ってない女の子自身には、たぶんわかんないだろうな。柔らかいんだよ?」



甘い汚れの付いた紙ナプキンを置いて、さよ子の頬の涙を指で拭ってやる。


さよ子は何の化粧もしていない。


してほしくないなって、ちょっと思う。


まあ、化粧したらしたで、やっぱキレイだなとか、現金なことを思っちゃうんだろうけど。


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