DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
死にかけてんだけど、痛くはない。
重くて、息ができなくて、ずぶずぶ沈んでいくみたいで。
自分の中身がすっげー濁っていくのがわかる。
ざらざら。どろどろ。
この混濁に全部を呑み込まれたら、おれ、きっと、終わっちゃうんだな。
崩れたコンクリートと傾いたアスファルトに挟まれて、半分以上ぶっつぶれた体を首から下にくっつけたおれは、どうにか動く眼球だけ上を向けて空を見た。
赤いような黒いような、ひび割れた空だ。
何でまだ続いてんだろうなって思った。
【終わっちまえよ】
こんなしょうもない世界なんか。
【滅んじまえよ】
遅かれ早かれ、長持ちしやしねぇんだ。
【今すぐ消えてなくなれ】
もうさ、みんな死んじゃったし。
【バイバイ】
おれもさっさと消えてなくなりたいんだよね。