DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


うわー、今まさにデートしてるんだな、おれ。


そんなことを急に実感した。


そしたら、テーブルの向かいにいる女の子が一段とまたかわいく思えて、何か妙にドキドキした。



変な気分だ。


ナンパで引っ掛けた相手だったら、悪くないって判定した時点で、人払いして好き放題やっちゃうんだけど。



今は、どうしてだろう、お手軽なことをしたくない。


さよ子が失恋したばっかりだから、っていう理由だけじゃなくて。



おれが泣きじゃくることしかできなくなったとき、自分だって苦しい思いをしてたはずなのに、さよ子はおれを抱きしめてくれた。


あのときの柔らかさとか、ぬくもりとか。


壊したくないなって思う。


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