DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
答えが返ってきた。
「防衛手段としての攻撃です。先にちょっかいを出してきたのはそっちでしょう」
「はい? 何のこと? 誤解してない?」
「とぼけているのか本当に知らないのか、判断する材料に欠けますが、ぼくにとってはどちらでもいい。命じられたことを遂行するだけですから。さよ子さん、こちらへ」
最後の一言はもちろん、さよ子に向けて放たれた。
さよ子はかぶりを振った。
鈴蘭がさよ子の前に進み出て、通せんぼするように両腕を広げた。
「嫌がってる女の子を連れ去ろうなんて、顔見知りだとしても失礼すぎるでしょ、あなた! さよ子に何の用なんですか!」
「命じられたんですよ。日が暮れた後、こんな場所にいては危険ですから」