DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
短くて、くだらなくて、振り回されてばっかで、どーしようもない人生だった。
ほら、本で読んだとおりにさ、運命がデカい樹みたいなもんで枝分かれしてるってんなら、この一枝、枯らしてやるよ。
もっとマシな枝、あるんだろ? そっちに栄養回してやるから。
いるのかどうだかわかんない、どっか別の一枝に生きてるおれがさ、姉貴と一緒に幸せに生きてりゃいいね。
あり得ねぇのかな。ま、どっちでもいっか。
どうせ、今ここにいるおれ、もう死ぬからさ。
【何もかも道連れにしてやる。来いよ、全部】
おれは命じる。
ざらざらでどろどろの思念が、滝が落ちるような猛烈な音を立てて額に集まる。
おれは目を閉じた。
ひび割れた空が見えなくなった。
自分の中で渦巻く真っ赤な熱だけが見えた。
心臓の音がほんの少し聞こえた。
額が熱い。おれは最期の呼吸をする。
【終われ】
真っ赤なチカラが砕け散って、何もかもが消えた。