DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
戦闘服を着込んだ敵の一人が、光の壁に突っ込んで弾き飛ばされた。
煥が突き出した手のひらの正面に、六角形の真っ白な光の壁が生じている。
ほくそ笑む煥が額の胞珠をきらめかせて、引っ繰り返った敵との距離を詰める。
敵は、逃れようとして転がる。
その動きも、煥は先読みしている。
軽い跳躍。容赦なく踏み付けながら着地。
何かが折れて砕ける音。くぐもった悲鳴。
煥は手のひらの先に光の板を創り出して、敵の体に押し当てた。
たちまち、焼け焦げる音と匂い。
煥の白い光はずいぶんな高温らしい。
敵の絶叫。
それを断ち切ったのは、あの素早すぎる襲撃者だ。
猛烈な速攻を、煥は難なく防ぐ。
「邪魔すんなよ」
「するに決まってるでしょう」
妙に静かに会話して、二人とも、ニタリと笑った。
戦闘狂だ。
こいつらにとってケンカってものは、手段じゃなくて享楽なんだ。