DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
そんなことをつらつらと、夜通し、文徳《ふみのり》と煥《あきら》に話した。
兄弟で二人暮らししてるマンションの部屋に泊めてもらって、お互い、垂れ流すように語った。
文徳の手はずっと、憑り付かれたようにギターをつま弾き続けていた。
ときどき煥が歌った。
歌詞のまだない旋律だけの唄を、でたらめな言葉をつないで歌っていた。
どんな楽器よりキレイな音を出す喉だと思った。
一夜明けて、朝。
ほかに何もすることないし、とりあえず学校に向かう。
ひびだらけのガラス窓にガムテープを貼りまくったコンビニの前に、やせて十円ハゲだらけのデカい犬がいて、物欲しげなまなざしでこっちを見ていた。
ピンと立った耳とアイスブルーの目。
たぶんちゃんとした血統のシベリアンハスキーだ。
どうしておまえみたいなのが野良犬やってんだよ?