DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
額が熱い。割れそうに痛い。
全身の毛穴から蒸気でも噴き出すみたいに、おれ自身を中心に、空気を揺らすことのない暴風が湧き起こる。
食い縛った歯の間からこぼれる押し殺した声が、あたりに轟く。
【てめーがおれの姉貴を殺したんじゃねーの? あの日の姉貴、おれに黙って出ていってさ、イヤな予感がして探して。
そしたら、てめーがいたんだよ。なあ、てめー、何であんな場所にいたんだよ?】
煥と文徳が両耳を押さえた。
海牙も、三日月刀《シミター》を手放すまではしないものの、顔を歪めている。
耳ふさいだって無駄だよ。
この大音量、音じゃねーんだよ。
思念で直接、ここにいる全員の脳ミソぶん殴ってるから。
海牙が必死の表情で体勢を保とうとしている。
「知りません……誤解が、あります。きみの想像するようなことなんて、ぼくは……」