DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
【てめーじゃねぇなら、てめーの仲間か? 組織なんだろ? でもな、おれと姉貴は違ったんだよ。
二人だけで隠れて住んでた。それが誰かの迷惑にでもなってたってのか? てめーらに害を与えてた? んなわけねーだろ!】
バチン、と爆ぜる音がした。
額から火を噴いたかと思った。それくらいの衝撃があった。
煥も文徳も海牙も、それぞれ胞珠を押さえてうずくまる。
増幅した思念が胞珠に共鳴して、高圧電流みたいなショックを引き起こしたんだ。
思い掛けない方向からも悲鳴が上がった。
振り返ると、鈴蘭がいた。
弾け飛んだ帽子が足下に転がっている。
鈴蘭は顔を上げた。
痛みをこらえる涙目だ。
鈴蘭は、凛とした表情で海牙をにらんだ。