DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「さよ子の居場所、わたしからあなたたちに訊きたいくらいです。昨日、わたしは確かにさよ子を家の前まで送りました。

ご存じかどうか知りませんけど、わたしの家、ちゃんとしたボディガードを雇ってます。彼らがわたしとさよ子を護衛していました」



昨日は気付かなかったけど、鈴蘭の手にはさよ子とおそろいのブレスレットがある。


青い石と三日月のモチーフ。



ライバル意識はあるにせよ、仲がいいのは本当だろう。


おれのチカラは、言葉だ。


おれが発する言葉はもちろん、耳から入ってくる言葉も、その響きが本心か嘘か聞き分けるのは得意だ。



鈴蘭は嘘をついていない。


さよ子が失踪したことも、おそらく鈴蘭が最後にさよ子の姿を見たことも、本当だ。



海牙が立ち上がって、芝居がかったため息をついた。


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