DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「ぼくたちにもさよ子さんの行方はわからないと、最初からそう言っているんですが」
「信用できません!」
「ひとまず、一時的に協力するつもりはありませんか? あなたが手掛かりになるかもしれないんでしょう?」
「信用できない人に協力なんてできません! だいたいあなた、さよ子とどういう関係? さよ子のこと狙ってるんですか?
さよ子、美人ですもんね。さらって閉じ込めておきたいって、変質者に言われることもあるくらい。あなたもそういうタイプ?」
「冗談じゃない! やせすぎて真っ平らで言動も子どもっぽい年下なんて、微塵も興味ありませんよ。
命じられたから探しているんです。そして、早く探し当てないと、今はギリギリのところで保たれている均衡が完全に崩れてしまう。時間がないんです」
海牙が再び三日月刀《シミター》を構えた。
切っ先がおれのほうへ向けられた。
まっすぐにおれを見据える海牙のまなざし。
何をそんなにあせってんだろう?