DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「壊していいのかい?」
「アレは一体、何なんだ?」
アレと呼ぶ以外に思い付かなかった。
窓越しに、人間の形をしたものが見える。
でも、それが人間だとは信じられない。
ただそこにアレがいるだけで、風圧にも似た思念の圧力で、吹き飛ばされそうだ。
煥《あきら》が吠えた。
「許さねえッ!」
立ったと思った次の瞬間には飛び出して、海牙に殴り掛かっている。
拳の正面に白い光の板。
海牙は三日月刀《シミター》でそれを受ける。
強化されたブレードと超常的な光の板の間に、火花が散る。
海牙が怒鳴った。
「なぜぼくを! 撃ったのはぼくじゃないでしょう!」
「テメェが目の前にいるからだ! 一人ずつ、全員倒す!」
「ああもう、いちいちこんな頭の悪いことを。邪魔しないでください!」
「うるせえ!」