DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


強い思念を込めて願えば、胞珠が叶えてくれる。


ただし、相応の何かを代償にしなければならない。



額が割れるように痛むのを覚えている。


流し込まれた願いの大きさに拒絶反応を起こして、吐いて泣いて叫んで騒いで、押さえ付けられて殴られて朦朧《もうろう》として、薬を打たれる。


胞珠さえ使えればこいつの意識も人格も必要ないんだと、冷たい声が降ってくる。



朱くきらめく珠のチカラがただ怖かった。


そのきらめきが自分のものだと知って吐き気がした。


こんなもんと一生、おれは付き合っていかなきゃいけない。


増幅された思念が浅はかな願いを叶えて……違う、おれはそんなの望んでない、おれじゃないんだ。



いやおまえが望むべきでおまえの仕事でおまえが一言命じればよかったんだ、


それなのにおまえが自分の仕事を拒むから仕方なく別の手段を講じざるを得ない、


いつからおまえはそんなに聞き分けの悪い子になったんだろうな、


と寂しそうに言われた。


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