DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
おれは笑った。
「何それ。おれのせいってこと? おっちゃん、偉い人なんでしょ? たかが十七歳のガキに引きずられてトチ狂うとか、ちょっとだらしなくない?」
総統も少し笑った。
【まったく面目ない。きみと私のチカラは相性がよいようでね、ふっと引き込まれてしまった。気が付いたら、このざまだ】
おれは笑いを腹の奥にしまった。
「このざまっていうのは、どういうざま? おっちゃん、死んでんの? ここ、おっちゃんが創り出したダンジョン?」
総統の思念は笑みを含んだままだった。
【人間の肉体としては、私は死んでいる。胞珠のチカラもほぼ流出してしまった。そのチカラと周辺の大地が混じって、
いわゆるダンジョンのようなものを形成したようだね。ただ、胞珠の破砕には至っていない。その一歩手前で押しとどめている】
「だよね~。おっちゃんみたいに全身胞珠の人が破砕したら、地球、割れるよね」