DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


おれは笑った。


「何それ。おれのせいってこと? おっちゃん、偉い人なんでしょ? たかが十七歳のガキに引きずられてトチ狂うとか、ちょっとだらしなくない?」



総統も少し笑った。



【まったく面目ない。きみと私のチカラは相性がよいようでね、ふっと引き込まれてしまった。気が付いたら、このざまだ】



おれは笑いを腹の奥にしまった。



「このざまっていうのは、どういうざま? おっちゃん、死んでんの? ここ、おっちゃんが創り出したダンジョン?」



総統の思念は笑みを含んだままだった。



【人間の肉体としては、私は死んでいる。胞珠のチカラもほぼ流出してしまった。そのチカラと周辺の大地が混じって、

いわゆるダンジョンのようなものを形成したようだね。ただ、胞珠の破砕には至っていない。その一歩手前で押しとどめている】


「だよね~。おっちゃんみたいに全身胞珠の人が破砕したら、地球、割れるよね」


< 91 / 405 >

この作品をシェア

pagetop