大好きな先輩は隠れ御曹司でした
ほっとしたからか、岡澤の口調もいつもと同じ穏やかなトーンになった。

「彼女、会社で俺と待ち合わせた女性はさ、親父の友達の娘さんで四ノ宮清花さんっていうんだ」

「うん」

「小さい時に家族ぐるみで何度か会ってたんだけど、こないだ久しぶりに会ってさ」

「うん」

「あのスーツ着て出かけた日、覚えてる?ほら、日曜日にフォーマルな服装だって光希がちょっと驚いてた」

「うん」

「あれさ、家族の記念日に食事する約束だったんだけど、そこに彼女と彼女のご両親も来ててさ」

「うん」

「その時に彼女が……」

「婚約者になったんでしょ?」

「え……?」
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