大好きな先輩は隠れ御曹司でした
「すべき事、ですか?」

「そう、冴島ちゃんの恋を知ってて応援してる私のすべき事」

真っ直ぐな視線で光希を見据えた静香さんは、一転ふっと力を抜いて困ったように笑った。

「私ね、どんな風に考えてこれからどうするか冴島ちゃん本人が決めることだから、黙って見守るつもりなの。でもね、その判断材料として、あの日から今現在までの間に会社の人間の間で流れてる噂は耳に入れとこうと思って。ほら、情報は武器でもあるから。きっと、ううん、間違いなく嘘と本当が混じった情報だけど、知らないで決断したら後悔すると思うから。冴島ちゃんにそんな後悔、して欲しくないから」

強く言い切りながらもどこか悩んだ風なのは、きっと静香さんが本気で心配してくれているから。それが分かるからこそ、光希ははっきりと頷いた。

「ありがとうございます、静香さん」
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