大好きな先輩は隠れ御曹司でした

光希の眼にいつもの力が戻ったのを確認した静香さんは冷静に、まるで業務報告のように話し出した。




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噂は多少のブレはあれど、ほぼひとつのストーリーとして成立していた。

岡澤侑斗は小笠原会長の甥で、父親も銀行の頭取だということ。幼い頃から親の決めた許婚がいて、もちろん政略結婚なこと。相手の女性の父親は現役国会議員、母親は旧財閥出身の完璧なお嬢様なこと。彼女との結婚と同時に小笠原会長の後継者としてお披露目が行われること。

「これでほぼ全部のはずよ。もしあっても、これ以外の話はみんな信じてないから」

話し終えた静香さんに光希は深々と頭を下げた。

「静香さん、すいませんでした」

噂話が好きでない静香さんの事だ。知り合いが多いといえど、これだけの話を集めるのは楽な作業ではなかったはずだ。