大好きな先輩は隠れ御曹司でした
静香さんに頭を撫でられながら、もっと楽に生きられたら、と光希は思う。

岡澤に恋する事も、そばにいる事も、躊躇なく肯定出来ただろうか。そうしたら、こんな状況にはなっていないかもしれない。

でも口から出たのは全く違う言葉で。

「じゃあ手始めに、静香さんにもっと甘える事にします」

「いいよ、いいよ。愚痴も相談もどんと来いだよ。建設的なアドバイスができるかは分からないけどねー」

こんな軽口を言って事態が好転するわけないのだと分かっていても。光希は静香さんの優しさに甘えて、少しだけ心が落ち着くのを感じた。









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