大好きな先輩は隠れ御曹司でした
内緒で妙な保険をかけてるとは言え、岡澤の事を好きで堪らないのは事実だ。六年も付き合って、まだ十分に仲良しなカップルなのだ。

ブツブツ言っている岡澤の首にそっと両腕をかけて、コツンと額をくっつけた。

「私も先輩にぎゅーってされたいもん」

「ーーーおまえ。今、それ言うのは反則でしょ」

「そう?じゃあ、ぎゅーってしてくれない?」

「ーーーそれも、反則」

言うなりぎゅっと抱きしめられて、そのままソファに押し倒される。

触れ合う腕も唇も、光希より少しだけ体温が高くて、それが心地よい。

「……大好き」

音にならない呟きは岡澤に届かないだろうけど、吐息と一緒に無意識に吐き出されてしまう。

それくらい、岡澤が好きだ。

頑張って『壁』を作ろうとしてもフニャフニャで薄っぺらな『カーテン』くらいしか作れないくらい。好きを止める方法だってなくしちゃってるくらい。
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