大好きな先輩は隠れ御曹司でした
5.
と、意気込んではみたものの、そんな都合良くタイミングが来てくれるはずもなく。

「はぁぁ……いざとなると良いタイミングって来ないものですね」

「ふふっ。ま、人生そんなもんじゃない?」

最近、学生時代の友人から教えてもらったアジアンエスニックのお店で、光希は大きく溜息をついた。静香さんはその向かいで面白がっているのを隠そうともせず、ランチのジャンバラヤにスプーンを入れている。

「今まで五年?待たせたんでしょ。じゃあ、冴島ちゃんも五年待たなきゃ」

「五年ですか!?そんなぁ……」

五年も待ったら光希は三十歳を超えてしまう。

「ちょっと罪悪感持ったでしょ」

「罪悪感なら前から持ってますから。そんなイジメないで下さいよ」

ぶちぶちと言いながら、光希もグリーンカレーを口に運ぶ。途端にレモングラスとココナッツが口いっぱいに広がった。

「美味しい!ここ当たりですね、静香さん」

「うん。冴島ちゃんのお友達、いいお店知ってるね」
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