大好きな先輩は隠れ御曹司でした
さっぱり理解出来ずに生返事をする光希に苛立った静香が少し声のボリュームを上げる。

「もうっ、冴島ちゃんってばしっかりしてよ。だから主任と二人で食事して、それを目撃してもらうのよ」

「目撃してもらうのを、利用するんですか?」

それでも上手く理解出来ない光希に焦れた静香さんの眼が鋭く光る。

「ーーー冴島ちゃん、よーく聞きなさい」

「……はい」

こういう時の静香さんに逆らうのが如何に危険な事か、光希はよく知っている。コクンと素直に頷いて、姿勢を正した。



⌘ ⌘ ⌘



静香さんの説明はこうだ。

「うちの女子社員に人気のお店に岡澤主任と二人で食事に行きなさい。出来ればお酒を飲むお店がいいわね。その方が二人っきりの特別さと親密感が出るもの。で、いちゃいちゃするの。もぅ『あのバカップルってば周り見えてないんじゃない?』って陰口叩かれるくらい」
< 34 / 148 >

この作品をシェア

pagetop