大好きな先輩は隠れ御曹司でした
「違うんだなー」

「じゃあ、何よ」

「うふふっ。知りたいー?」

勝ち誇ったように勿体つける藤末に、なんだか腹が立ってきた。
光希にしてみたら、大切な恋人の個人情報をズルい手段で手に入れて、それを得意げに他人に話すなんて酷すぎる。

あんまり腹が立ったので、今更でも出て行こうとした時、藤末が声をあげた。

「岡澤主任ってね、ここの会長の甥なんだって!」

「ホント!?」

「ホントだって。だって見たもの。それにね……」

二人の会話は続いているが、突然で想定外過ぎる情報に、光希の思考はフリーズ状態だ。
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