大好きな先輩は隠れ御曹司でした
岡澤は料理に対してもその完璧さを発揮していて、お粥もとても美味しい。きっと光希が作ったのより美味しい。

そう思いながら、ひと匙ずつゆっくりと咀嚼する。

そしてつい、考えてしまう。

どうして教えてくれなかったんだろう、と。

短い付き合いなら「これから話すつもりだった」って事もあるだろう。学生時代の付き合いなら言わない事もあるだろうか。遊びの恋なら……。

でも光希達は違うはずだ。

確かに社内ではオープンにしていなかったけれど、六年近くも真剣に付き合ってきた。将来の事だって頭の隅では考えていた。

でも、そう思っていたのが光希だけだったら?岡澤は違う考えだったら?

また臆病で自信のない考えが出てきて、光希は頭を振る。
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