大好きな先輩は隠れ御曹司でした
そうは言っても寝具は光希が寝ているベッドしかないのだ。光希が風邪を引いた可能性もなくはないのに、一緒に寝て、うつしてしまっては岡澤の仕事に差し障る。

「先輩、やっぱり帰った方が……っえ!?」

抗議する光希を軽くいなしながらお粥を片付けていた岡澤が、急にベッドに潜り込んできてそのまま抱き締められた。

「正直言うとさ、俺が光希の側にいたい。抱き締めて、頭撫でて、大丈夫だって言ってやりたい」

「先輩……」

「光希はいつも強がるから。本当は甘えん坊でヤキモチ焼きのくせに、いつも隠して。そういうの、俺限定で解除してよ」

とびっきり甘い声は光希の首元に響き、ぎゅうっと抱き締めたままの腕は、片方で光希の頭を優しくなでる。

こうやって甘やかされる事に光希は弱い。
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