大好きな先輩は隠れ御曹司でした

８．

月曜日、前日にイギリスに出発した岡澤を思い出して、光希の頬は緩む。

そして、そういえば最近もこんな事があったな、とも思い出す。

結局光希の熱は一晩で下がった。
抱き締められながら、岡澤が言ってくれるまで待とうと決めたら下がったのだから、やっぱり知恵熱だったのだろう。

それでも光希の体調を心配する岡澤は、わざわざ出張の荷物を一旦自宅に取りに行き、時間ギリギリまで光希と一緒に過ごしてくれた。

岡澤を信じて待つと決めた事で少し余裕の出た光希も二人の時間を心から楽しめたし、少しだけスッキリも出来た。

思い切って、藤末の事を聞いたのだ。

光希がその名前を口にした時、岡澤は微妙な顔をした。

「光希が気にしてくれて、ヤキモチ焼いてくれるのは嬉しいんだけどさ」

と前置きしながら、表示はどんどん曇る。