大好きな先輩は隠れ御曹司でした

光希と女性、二人にとってよい解決策になる提案だと思ったのだ。

光希の意図は目の前の彼女にも伝わったらしい。ぺこりと頭を下げた後、ほわりと表情に笑みを浮かべた。

「重ね重ねのお気遣い、ありがとうございます。では、少しお待ち下さいね」




⌘ ⌘ ⌘



光希はそのまま、女性と駅まで一緒に歩いた。

四ノ宮清花（しのみや さやか）と名乗った彼女は二十二歳、大学四年らしい。
落としたピアスは亡くなった祖母から贈られた物で、彼女にとっては御守りなのだと言った。

「祖母はいつも私の相談相手だったんです。祖母に話す事で楽になれたって感じで。だからこのピアスを付けていると、大丈夫だって思えて」