大好きな先輩は隠れ御曹司でした
たわいもない事を言い合って笑って。清花と過ごす時間のおかげで、岡澤のいない二週間はあっと言う間に過ぎた。

そのおかげか岡澤が帰って来た時、光希は自然と笑って出迎える事が出来てほっとした。

実は密かに知ってしまった岡澤の家庭環境の問題が心の底にへばりついて、知らんぷりすることにも苦痛を感じる瞬間もあったのだ。

「おかえりなさい」

「ただいま」

週末の夜に帰国だったので、今回は岡澤の希望で彼のマンションで食事を作って出迎えた。

２ＤＫの部屋は光希の部屋に比べると広いけれど、岡澤の年齢や役職を考えれば不自然じゃない程度だ。

「イギリス、最近多いね」

「あー、うん。多分、これからも多いな」

「そっかぁ」

仕事上の守秘義務もあるし、社内恋愛といえども岡澤は仕事内容を詳しく語らない。光希もきっと自分には大して理解出来ないだろうと、これまで突っ込んだ質問をした事はなかった。
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