大好きな先輩は隠れ御曹司でした

「うん。ただいま」

そのまま数分。たった数分だけどこの上なく幸せな数分の後、岡澤がゆっくりと光希の身体を起こした。

「さて、充電終了。で？若松課長、早速用意してくれたんだ」

「うん。昨日、遅くまで残業してたみたい」

「それは申し訳ない事したな。うちの部長が急に無茶言い出してさ」

「相変わらずだね」

「ハハッ。でもこの急な思いつきが馬鹿に出来ないっていうか、不思議と結果出すから……」

「無茶聞いちゃうんだ」

「そ。今回は若松課長にも無理させちゃったけど」

「若松課長もそれ、分かってるからね」

「うん、有り難いよ。で、光希は今日は？」

「私はいつも通り定時退社。でも先輩は無理でしょ」

「いや、今日は早くあがるよ。光希とゆっくり会えるの半月ぶりだし」