大好きな先輩は隠れ御曹司でした
ふっ、と思い出したのだ。
あの日、岡澤から告白された日。いつもの揶揄いだと思いながら、どこが焦れた様子に違和感を感じたのを。

あの時、岡澤は自分が男として意識されないままな事とこれから生まれる距離に焦り、告白したのだと言っていた。
それなら、この違和感は何に焦っているのだろうか。

「ーーー光希、話したい事があるんだ。謝らなきゃいけない事も。週末、時間作ってくれるか?」

「週末って金曜日とか?」

「いや、金曜日は予定があるから。土曜日は?」

「うん、分かった」

頷いた光希に安心したのか、ほっと息を吐いて岡澤はエレベーターに乗り込む。後に続こうとした光希は、だが足が止まった。

「か、会長!お疲れ様です」

「お疲れ様」
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