大好きな先輩は隠れ御曹司でした
12.
『……き?光希、聞いてる?』
「え?あ、うん。ちゃんと聞こえてるよ」
『それなら良いんだけど……なんか変じゃないか?また体調悪い?』
「ううん、大丈夫。多分、珍しく遅くまで残業したから疲れてるのかな」
エントランスでの衝撃から数時間、日付が変わる頃に岡澤から電話があった。
日頃から残業の多い岡澤からの電話はこの時間になる事も多いし、口調もいつも通り。きっと本当に光希が遅くまで残業していたら何も気付かなかっただろう。
この電話の前に他の女性と会っていたなんて。
「ーーーあのさ。今日は俺、仕事で電話が遅くなった訳じゃないんだ」
ぼんやりと会話する光希の気配を伺うように、岡澤が話し出す。言葉を選んでいるのが分かる話し方だ。
「え?あ、うん。ちゃんと聞こえてるよ」
『それなら良いんだけど……なんか変じゃないか?また体調悪い?』
「ううん、大丈夫。多分、珍しく遅くまで残業したから疲れてるのかな」
エントランスでの衝撃から数時間、日付が変わる頃に岡澤から電話があった。
日頃から残業の多い岡澤からの電話はこの時間になる事も多いし、口調もいつも通り。きっと本当に光希が遅くまで残業していたら何も気付かなかっただろう。
この電話の前に他の女性と会っていたなんて。
「ーーーあのさ。今日は俺、仕事で電話が遅くなった訳じゃないんだ」
ぼんやりと会話する光希の気配を伺うように、岡澤が話し出す。言葉を選んでいるのが分かる話し方だ。