大好きな先輩は隠れ御曹司でした
光希だって岡澤と付き合うと決まった時は友達に揶揄われるほど、毎日笑っていた。
その嬉しさは時間と共に日常に馴染んで、今は光希の生活の一部となっている。

それが失われてしまうのに、悲しいとか寂しいだけじゃない、複雑な気持ちが光希の心に広がっていく。

だって清花はただ憧れの人とお見合いをして、恋をして、それを喜んでいるだけ。純粋な気持ちはこちらまで爽やかにするほど。それに彼女の周りの人だって善意だけで動いているはずだ。

そんな彼女に「私の恋人を取らないで」なんて言えるはずもない。

「はい、恋してます。だから、ちょっと無理してでも突っ走ってます」

光希の複雑な気持ちが移ったみたいに、清花も複雑な表情になった。

「清花ちゃん?」
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