ほしのかなた
Prolog
どん、と音がして、背中に強い衝撃がはしる。

「きゃっ」

私は小さく悲鳴をあげ、膝から転んでしまった。ズキ、と膝に痛みを感じる。

「うっわー!」

声がして振り返ると、よく見慣れた、クラスの男子グループがいた。

「こんなのでコケるとか、マジでありえないよなー」

「さすがダサ子だよな!」

膝の痛みで立ち上がれずにいる私を取り囲み、彼らは次々と暴言を吐いた。

彼らの足の隙間から、近くを気まずそうに通り過ぎていくクラスメイトの姿が見えた。

いつもの、こと。
私は彼らにいじめられている。
誰も助けてくれない。

誰も、誰も__.....


「お前ら、ほんとだせえぞ」

聞き慣れない声に顔を上げる。

立っていたのは、見慣れない男子。ただ、いじめっ子たちより遥かに高い身長からすると、上級生かもしれない。

さっきまであんなに騒いでいたいじめっ子たちも、驚いたのか黙り込んだ。

「これ、楽しいの?」

上級生かもしれない彼は、いじめっ子を見下ろして静かに聞いた。

「な、なんだよっ」

いじめっ子たちは気まずそうに走り去っていった。

彼らが去るのを目で追ってから、その人はこちらを向き直って、それから、まるで向日葵のような笑顔を見せた。

「大丈夫?」


___心が、きゅっとなる。初めての気持ち。よく分からないけど、子供ながらにこれが恋か、と悟った。
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