傷だらけの君は


山崎さん、これから任務だったんだ。


というか非番だったことすらあたしは知らなかった。


この時間はもしかしたら、山崎さんにとって貴重な休憩時間で、それを割いてしまったのかもしれない。



「あの、山崎さん。ご......」


このまま謝ってもいいの?


一瞬の気の迷いが出かかった言葉を防いでくれた。



「......ご?」


「ご、ご......ご、くん」


「あはは、なんやそれ」


あたしは言葉を飲み込んだ。


きっと山崎さんが求めているのはこんな言葉じゃない。


じっとあたしを見据える山崎さんにあたしは誠心誠意の気持ちを込めて頭を下げた。



「ありがとうございました!て、手当も!お話も!!」


「おっ、大きい声出るやん!どういたしまして!!」


かんらかんらと笑った山崎さんが部屋から出ていく気配がした。



「次、しょうもないことで謝ったら医務室出禁やでー」


「えっ」


それはまずい。


頭をあげるとすでに山崎さんは姿を消していて、部屋にはあたしと沖田さんしかいなかった。


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